ほっと、ブレイク ~ 小説にトライ!編 ~-sowa2
クローバー西宮までは3駅。途中の小さな駅で降りる人は少ない。

  その間に座れる可能性はほぼ、ないだろう。

  僕はさっそく回りの人たちの観察を始めた。


  まず、頭上の荷台に荷物を置いている人は、無いな。

  すぐに降りるつもりなら、わざわざ高い荷台に荷物を置いたりなんかするはずが無い。

  自分の足元か、膝の上に置いているはずだ。

  その人たちは削除だな。ひとまず途中下車の対象から外そう。


  次に爆睡しているオヤジ。

  さすがに朝の通勤時間と重なっているだけあってサラリーマンの数が多い。

  しかし、途中で降りる気配も起きる気配もまったく感じない。

  いや、それどころか生きているオーラすら感じさせない人までいる・・・

  世のサラリーマン族のオジサマ方はたいそうお疲れのご様子で、こりゃこのまま三ノ宮まで直行だな。

  この人たちもターゲットから外そう。

  ゆらゆらと、うたた寝しているOLのお姉さん方も同じく除外だ。

  仲良く三ノ宮までいってらっしゃい。


  さて、あと目に付くのはケータイをいじっている人とゲームに熱中している少年ってとこか。

  ケータイをいじっている人たちはフットワークが軽そうなので除外することはできないが、今流行りの携帯ゲーム機『DSP』に熱中しているあの少年はこの際ターゲットから外そう。

  あれだけゲームに熱中していて、いきなり電車を降りるとは思えない。

  降りる少し前に必ず電源を切るか、もしくはゲーム機のフタを閉じるはずだ。


  っと、そんな事を考えている間に電車は立花駅を過ぎ、まもなく甲子園口駅に到着しようとしている。

  あと1駅の間に今挙げた条件にあてはまる人たちを除外して、西宮で降りそうな人を見つけ出し、その人の前で待機しておかなければ、座席を確保することができない。


 さぁ、集中しろ。よく観察するんだ。西宮で降りるのはいったい誰だ!?クローバー


                                          ――――――つづく


 
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